ほびっと村学校で育てた活元会

自発性を育てる場

 「母と子の活元会」をほびっと村学校でレギュラークラスとして開催させていただくようになり、はや5年になろうとしています。赤ちゃんの時から参加してくださっているお子さんは4歳、5歳となり、当時、幼児だった上のお子さんは小学生に…。見様見真似で邪気を吐いたり、背中に手を当てたり…。まさに門前の小僧の手習いで、いつの間にかすっかり整体法の初歩を身につけています。
 さらには、私の説明をフルコピーして会の進行をサポートしてくれる女子も登場しました! しかも、終了後は箒で掃き掃除までしてくれる…。お願いしてやってもらっているわけではなくて、自らやってくれるのですよ。私の会は子どもたちの自発性を育てる場にもなっているようで嬉しいです。このように若いお母さんとそのお子さんたちと共に愉しめる場を与えてくださったゆりこさんには心から感謝しています。かつて本部講師のロイ先生(野口裕介先生)が「会を育てる」ことの意義を説かれていましたが、その意味を今となって改めて感じています。

気を集める集中の型

 私たちは、愉気で育った子を「愉気っ子」あるいは「整体っ子」と親しみを込めて呼ぶのですが、それはなにも整体の世界に限った特別なことではないことを感じています。親の愛を一身に集めて育った子は充実していますよね。「愉気=無償の愛」でもあるわけです。愉気とは気を集めること…。すなわち集中の型なのです。気が満ちている子、それが整体っ子…大切に育てられた子は身体も整っているのです。

愉気のある子育て

 私が整体の育児を子育て中のみなさんにすすめたいと思ったのは、愉気や活元運動が生活の中心にあると子育てが愉しくなるからです。これは自らの経験談です。赤ちゃんがお腹にやってきたその時から、手を当てて愉気をし、話しかけをする…。愉気法を身につけている人にとってはそれがごく自然の行いです。生まれてからは、赤ちゃんのお世話をする時にはいつも愉気の手で…。抱っこしてはいつもせっせと愉気をしていました。私の子育てはまさに愉気が中心…。
赤ちゃんとの感応を愉しむ
 誰でも赤ちゃんが生まれてからしばらくの間は、赤ちゃん中心の生活に余儀なくされますが、そんな時に愉気を知っているのといないのでは、愉しさが断然と違ってくるのではなかろうか、と思っています。
 なにより赤ちゃんのお世話をしていると、手の感覚がどんどん良くなっていきます。赤ちゃんは敏感ですから、気の通りがとてもよく、とくにお母さんとはお腹の中にいる時から繋がっているので、手を当てた時の反応がとてもよいのです。赤ちゃんとの感応が楽しくてしかたありませんでした。
 そんなことを子育て中のお母さんたちにお伝えしたい。

子育てこそが整体の一番の勉強

 私が本部道場で本格的に整体コンサルタントへの道を目指して年間講座で勉強をはじめたのは21年前のこと。ところが翌年に妊娠したのです。子を授かったことはもちろん嬉しくありました。でも、折角、コンサルタントを目指して勉強をはじめたのに中断しなくてはならない、という不安混じりの焦りを感じていたのもまた事実。そんな私の思いを察して師匠がかけてくださった言葉が、今日の私を支えています。
「きちんと勉強に取り組んだことで身体が整ったのですよ。妊娠出産子育てこそが、一番の整体の勉強ですよ」と。ですから、私の会は「母と子の活元会」なのです。
活元運動の魅力が伝わって
 子育てに愉気を…という想いと共に活元運動を皆で一緒にやりたいという想いがありました。それは愉気と活元運動は「ひとつらなり」だからです。活元コンサルタントの資格をいただいた時から、その思いは一貫しています。
 ただ、活元運動には、ヨガやピラティスのようなお洒落な要素はまるでないし、また、有酸素運動のようなわかりやすさもありません。ダンスエキササイズのような華やかさとももちろん無縁…。格闘技のようなキレの良さもありません。
 無意識の働き、錐体外路系の運動という説明や、「身体が自然に動きだすのを待つ」と言われて、何かオカルト的なイメージを持ってしまう方もいらっしゃるようです(笑)。また、無意識の運動ですから、普段自分が意識していない赤裸々な自分と向き合うことにもなります。そのことに抵抗を感じる方もいらっしゃるのは確か。
 長い整体生活の経験から、そうした面も熟知しているため、「若いお母さんたちに活元運動を好きになってもらえるだろうか…」と、少し不安があったけれど、「いや、私が大好きな活元運動なんだからきっとその愉しさは伝わるはず」と思ったり…。そんな葛藤を抱えていたわけですが、ゆりこさんの後押しもあって、会はレギュラークラスにしていただけたのでした。
 それに、活元会を開催するにはまさにここしかない、という思いもありました。隣のスペースのナワ・プラサード書店では全生社の野口晴哉先生の著書が揃っているのですから。ここまで常設してくださっている本屋さんを私は他に知りません。

いつしか活元運動が好きになっていた

「母と子の活元会」は一時期人気講座に育ち、多い時には20組の母子の参加もありました。ほびっと村学校の畳間をハイハイするたくさんの赤ちゃんたち…。私が活元運動の準備運動の「邪気を吐く」のお手本をやってみせると、赤ちゃんたちが一斉にハイハイしながら突進してきて、ポカ~ンと私を見上げている姿が可愛くてたまりませんでした。そんな赤ちゃんたちも、2歳にもなると皆、大人と一緒に準備運動をするようになっていきました。「邪気を吐くー腰を捻るー延髄に気を集め肩甲骨を寄せる」という一連の流れをすっかり覚えています。そんな子たちもいまは園児、児童と大きくなって、また生まれたばかりの弟さんや妹さんも新しく加わっています。
 もちろん子どもたちばかりではなく、若いお母さんたちも「すっきりしたい」と会を楽しみにしてくれるようになりました。いつしか活元運動が好きになってくださっていて、これには私の方が驚いたほどでした。 

コロナ禍だからこその活元運動

 2020年は緊急事態宣言が発令されてからの一月間、そしてその後の世間の厳戒な空気の中で、いましばらくは会をお休みしていたのですが、そんなある日、会のメンバーから、「ゆかりさんに会って話がしたい。毎日、息が詰まってしまうから活元運動がしたい」とリクエストをいただき、会を再開することにしました。
 いまはレギュラーメンバー限定の小さな単位で開催していますが、かえって密度の濃い内容を伝え実践にうつすことができるようになりました。集中の型ということを考えた時、奥を探究し、鍛錬することが求められる世界…。そして本部道場でなくほびっと村学校の私が担当するクラスでも、このメンバーとならば探求を深めることができる…そのことを実感できた一年となりました。
 2021年、コロナが終息した暁には、クラスをレギュラーメンバー限定の会と新しく取り組みたい人たちを迎えられる体制を作りたいと思います。活元運動のように、流動的に変化し、次のステップに移っていくことも大切ですから。
※ほびっと村学校HPに寄稿した原稿より。
※画像はいずれも、2019年以前のものです。

魔法の手・手当て・手仕事・手作りのある暮らし

言葉に頼らない子育て ☆母なる手しごと☆ Content Introduction ◉手当て◉ hand healing ◉整体子育て講座◉母と子の活元会 ◉Lunch Box◉お弁当日誌。 ◉Works◉子どもが描いた絵と母の手による糸と布の作品。ウォルドルフ人形。フェルト遊び。 ◉料理◉料理研究家としての記録。 ◉デッサン◉デッサン初心者の記録。

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